1.企業経営危機時におけるメインバンクの役割 (1)倒産企業の法的整理形態の違いと、メインバンク融資シェア、担保順位、従業員数、倒産原因等との相関について統計的に検討を行い、メインバンクとの関係が深い企業ほど、再建型の整理形態をとる傾向が強いことを確認した。(2)構造不況業種の一つである海運業について、倒産企業と非倒産企業を比較し、非倒産企業ほどメインバンクの融資シェアが高く、取引金融機関数も小さい傾向があることを統計的に確認した。 2.M&Aにおけるメインバンクの役割 (1)交友的なM&Aにおいて、メインバンクは、企業間の情報の非対称性を緩和する形で、仲介、融資等の面で、重要な役割を果たしていること、(2)敵対的なM&Aにおいて、メインバンクは、被買収企業を援助する形で機能していること、(3)M&Aは、メインバンクによる企業救済の一手段として見なせること、等の事実を実証的に確認した。
|