カナダの346社(1990-1993)のアニュアル・レポートと、わが国の一部上場会社の有価証券報告書により情報を収集した。事業の概況の項目にポイントを置き、特にソフトウェアを取り扱う業種(その他製造・通信・サービス)を15社(平成2年〜平成5年)リストアップし、当該会社のキャリア、業界における業績・地位・規模等を調査した。また、対象会社の経営計画の変化と、ソフトウェアにおける資産処理方法の相違点を調査し、その資産性について研究を行った。その結果ソフトウェアは、開発形態・取得形態・活用形態の三つの形態に類別することができ、その会計処理方法の相違は、利用目的により顕著に現れた。販売用ソフトウェアは、会社にいずれ収益をもたらすものであるので、販売されるまでの間は製品または商品などの棚卸資産に計上し、売上時に売上原価として処理するケースが多い。自社開発・受託開発・委託開発ともにこれに従い、購入ソフトウェア・複製品についても同様である。社内利用目的ソフトウェアは、比較的長期にわたって会社に潜在用役(service potentials)をもつものとおもわれるので、繰延資産・長期前払費用または無形固定資産などの長期性資産に計上するケースが多い。自社開発・委託開発・購入ソフトウェアについてはこれに従い、複製品やリ-スしたソフトウェアは、当期の費用として処理している。ソフトウェアの資産性の判定基準として、未来経済的便益(future economic benefits)を認識する必要がある。すなわち技術的実施可能性・販売可能性・利用可能性によって判定される。このように会社のソフトウェアは、販売用ソフトウェアは技術実施可能性と販売可能性によってその資産性が判定でき、社内利用ソフトウェアは技術実施可能性と利用可能性によって判定できる。
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