研究概要 |
単純楕円型特異点の普遍変形に付随する周期写像に対し、その逆写像を保型形式を用いて記述するために、フラット不変式の保型形式による表示を研究している。私は今までに、ヤコビ形式を用いてこの問題にアプローチできることを示し、G_2,D_4,F_4,E_6型に対して、ヤコビ形式による表示を与えた。 現在さらにテ-タ関数による表示を与えさらにその解析的構造を明らかにすべく、ラプラシアンのフラット不変式への作用の完全な記述を試みている。これはD_4型の場合にすでに完成し、E_6型の場合も部分的な結果が出つつある。この研究から特に、フラット不変式のテ-タ関数による具体的な表示がD_4型の場合及びE_6型の一部の場合に得られており、完全積分可能系を背景とした、一連の興味ある、テ-タ関数のなす微分環の完全な記述ができつつある。 これから特に、特異点に付随するdispersionless KdV方程式のgamma関数の記述、テ-タ関数でのgamma関数の表示が得られ、単に周期写像の逆写像の記述にとどまらず、周期写像の構造にまで立ちいった記述ができつつある。
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