星の周りの圧縮性粘性気体が真空と連続的に接している場合の自由境界問題を、気体は球対称なバロトロピックと仮定して、連続の式と方程式を考える。これらの方程式系の定常解を含む形での時間大域解の存在について、次のような線の方法を用いることによって、数学的に証明することができた。まず、方程式系を、空間方向のみに差別化して、時間に関する常微分方程式とみなす。次に、その方程式系にたいして、空間方向の刻み幅に依存しない形でのエネルギー評価を求め、刻み幅を0に収束させて、偏微分方程式としてのエネルギー評価を得る。それらの評価式を使って、時間大域的弱解の存在を証明した。このことを更に発展させて、弱解の一意性についても示すことができた(論文投稿中)。 時間大域解の定常解への収束状況を調べるために、数値計算を行ってみた。数学的証明のために用いた常微分方程式系を基にして、時間方向にも前進差別をとり、離散化する。初期値として、境界条件や現実的状況を考え、三角関係を与えて、解の時間的変化を近似的に求めた。方程式としては、空間一次元と見なせるのだが、球対称であるために、本質的には三次元であるので、一次元の場合とは違って、差分式の安定性が良く、人工粘性項を加えなくても良好な近似計算結果が得られ、定常解への収束についても、かなり早い段階で、収束している様子が見られた。ただ、自由境界を固定化させるために行った座標変換によるしわ寄せを受ける項の近似については、ある程度精度の良い近似式を用いないと、誤差による振動現象が起こり、数値解を信用できないものにしてしまう。この数値実験の結果より、定常解への収束についても、数学的に証明できる手がかりが得られるのではないかと思っている。
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