研究概要 |
まず、近似代数の理論的研究を行った。行列の固有値、固有ベクトルは制御工学において最も重要な量のうちの一つであるので、これに近似代数の概念を適用し「近似固有値、近似固有ベクトル」を定義し、この計算法を考案した。(研究発表"Approximate Eigenvalues,Eigenvecotor and Inverse of a Matrix with Polynomial Entries"を参照)次にこの近似固有値、固有ベクトルを最適制御系設計に適用した。これにより近似的にではあるが、従来は不可能であったパラメータつきの最適制御系設計が可能となった。現在、この結果を電子情報通信学会に投稿中である。また、近似代数は近似値を取り扱うため誤差の取り扱いには注意が必要である。このため、どのような場合には誤差が大きくなるかの解析を行い京大数理研の研究会で発表した。(研究発表"多変数代数方程式の数値的べき級数根について"を参照)また、これら理論的結果を実際の応用に役立てるため現在、制御系CAD設計用のプログラム、及びそのドキュメントを作成中である。まだまだその完成にはほど遠いが、数式処理システムは他の人に使ってもらわなければ意味がないので、何としても完成にこぎつける所存である。
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