この研究では、1次元の有界区間上で定義されたパラメータを含む非線形微分方程式の解の検証を試みた。 まず、解曲線が返り点(turnign point)を含む場合を扱った。この場合、もとの方程式は、返り点において不安定なっているので(Frechet部分が可逆でない)、もとの方程式に1次元の別の方程式を付け加え、拡大された方程式が安定になるようにすることを考えた。その拡大された方程式に対し、従来の解の検証を適応することにより、返り点の周辺での解の検証、および返り点そのものの検証をすることができるようになった。 次に、分岐点(bifurcation point)の数値的検証についても、同様な手法の適応を試みた。定式化、数値計算ともうまくいったが、証明を検討している段階で、新たな問題点も見つかった。それは、分岐点の数値的検証においては、返り点の検証の際よりもう一つ余分にパラメータを導入する必要があり、そのパラメータが分岐点(の候補者)において、本当に0になっているかどうかを検証しなければならないということである。 いろいろ考察した結果、この問題は、次の問題に帰着されるらしいことがわかった:代数方程式の重根の存在を"数値的に"(浮動小数点演算だけを使って)検証できるか?(そのようなアルゴリズムが存在するか?) 直感的には、この問題は否定的に解決されることが予想される。しかし、厳密な証明には新たに理論を作る必要があり、今後の問題である。
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