本研究ではスーパー神岡実験における核子崩壊および大気ニュートリノの研究のためのシミュレーションの開発、および解析手法の確立をめざした。スーパー神岡実験は現行神岡核子崩壊実験と比較して20倍以上のデータを得ることができる。そのため、その大量のデータに見合うだけの精密なシミュレーションを開発する必要がある。核子崩壊および大気ニュートリノの解析においては、大気ニュートリノが検出器中の核子と反応して起こす事象が重要になる。特にニュートリノと核子が反応して一つまたはそれ以上のpi粒子が生成される反応は核子崩壊の最も重要なバックグランドになる。そのため、この反応についてはニュートリノ実験で良く使われているRein-Sehgelのコードを使い、現行神岡実験で使っているFogli-Narduliとの比較を行った。また、生成されるpi粒子の方向依存性も導入した。 次に生成されたpi粒子の核内での反応をシミュレートした。これは核内での平均自由行程を計算して反応が起きたかどうかを判断しながらpi粒子が原子核からでていくまで追いかけることによりおこなった。この時、核内の核子の密度とパウリブロッキングの相関を入れることによりこれまでの実験結果と良く合うようになった。また、フォトプロダクション反応等の実験結果も良く再現した。 解析の手法については、1リング事象に対してニューロを使ってチェレンコフリングのエッジの抽出を行うことができた。スーパー神岡実験ではマルチリングでのエッジの抽出が必要なため現在の手法を拡張する必要がある。
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