現在高速並列分散システムが必要とされている分野として高エネルギー実験物理学と計算機理論物理学があげられる。この研究の目的は、上にあげた2つの分野に対し必要とされる高速並列分散システムはどのようなものなのかを明らかにしようとするものである。今年度は、我々は高エネルギー実験物理学におけるデータ収集系への応用として並列分散システムを主にとりあげ、データ処理能力がシステムの大きさに比例する構成を考え製作評価することにした。今年度前半において簡単な系での速度のシミュレーションをVerilog HDLを用いて行い、適正なシステムを求めた。その内結果の一部はカナダで開催された国際会議において発表された(RT93 Conference)。さらにシステムの内の重要な部分について製作を行い、それらは広島での国際会議において発表された。その会議では、高速並列分散システムの高エネルギー物理への応用としてシリコン検出器の読みだしシステムについての発表をおこなった。我々はすでにデータ収集部に関し並列性及び分散性の高いモデルのプロトタイプの製作を終了しており、動作も確認された。これらの結果をふまえ高速化及び計算機理論物理学への応用に関する研究を行うために、将来更に詳細なシミュレーションによるモデルの評価及び製作による確認を行わなくてはならない。この段階を数回経ることによって実際への応用が可能になると思われる。
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