本研究では、ポアズイユ流等のせん断流や外力を受けた水面波動の乱流・カオス状態への遷移を、幾何学的理論(カオス理論)、数値解析及び実験の各面から研究、比較検討した。前年構成したフーリエ・チェビシェフ展開による2次元流体方程式の数値シミュレーションのスペクトル法コードを用いて大型計算機により数値解析し、平面ボアズイユ流の乱流状態への分岐過程を、レイノルズ数と基本波数を変化させて調べた。詳細なカオス状態への分岐構造が得られた。弱非線形理論のモデルとなるStewartson-Stewart方程式の散逸項のない非線形シュレディンガー方程式のホモクリニック構造を詳細に調べ、周期外力によりホモクリニックカオスが現れる事が示された。また、256X256の乱流データから、渦度の分布が粘性効果の大きい壁付近では正規分布、全領域で指数分布であることが分かった。 前年製作済みの水面波加振装置と、購入済みの可視化機材、画像処理ボード及び購入した画像処理ソフト(Cライブラリー)を用いて、パラメータ励起された水面波上の浮遊粒子の複雑な運動のデータを取り込み処理し、ブラウン運動との比較を行った。加振振幅をあるしきい値より上げると粒子の運動が活発になる事がわかった。 作成済みの回転乱流装置内の多数の小泡の運動から、乱流場の速度分布を画像解析により計測し、乱流場中の速度分布の統計データを得た。速度場はガウス分布に、速度勾配は指数分布に近いことが確認された。
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