タバコ培養細胞BY-2の細胞周期をDNA合成阻害剤のアフィディコリンと微小管重合阻害剤のプロピザマイドを用いて分裂後期に同調化し、フラグモプラストを箪離した。箪離フラグモプラストは多糖合成活性を保持している。箪離フラグモプラストをUDP-[^3H]glucoseとともにインキュベートし電子顕微鏡オートラジオグラフィーを行うと放射能の取込みはフラグモプラストの赤道面に存在し、この取込みはbeta-グルカンの合成である。箪離フラグモプラストにおけるbeta-グルカンの合成はATPやATP-gammaSによって活性化され、この活性化は燐酸化阻害剤であるスタウロスポリンやK252aによって完全に抑えられたことによりフラグモプラストにおける多糖合成は燐酸化によって制御されていることが示唆された。フラグモプラスト内のどの位置でbeta-グルカンの合成がATPにより活性化されているのかを調べるため、ATP存在下で箪離フラグモプラストをUDP-[^3H]glucoseとともにインキュベートし、顕微鏡オートラジオグラフィーを行った。その結果、beta-グルカンの合成はフラグモプラストの赤道面全体で活性化されていることが示唆された。また、燐酸化を受ける物質の局在を調べる目的で箪離フラグモプラストをATP-gamma-[^<35>S]とともにインキュベートし、顕微鏡オートラジオグラフィーを行ったが明確な結果は得られなかった。
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