両生類下垂体ホルモンのプロセシングについて、ウシガエル下垂体を材料に、以下の2項目を中心に研究を行った。即ち、(1)ペプチドのC末端をアミド化する酵素の遺伝子のクローニング、(2)多機能型前駆体タンパクであるプロオピオメラノコルチン(POMC)遺伝子のクローニング、である。 (1)について、ツメガエルの皮膚に存在するアミド化酵素の遺伝子の塩基配列をもとにプライマーを合成し、精製したツメガエル皮膚のmRNAに対するcDNAを鋳型に、PCR法を用いてツメガエルアミド化酵素をコードする遺伝子の一部分を増幅し、プローブとした。ウシガエル下垂体中・後葉から作製したcDNAライブラリーについてアミド化酵素遺伝子のスクリーニングを行ったところ、ポジティブクローン1個を得た。現在、さらにスクリーニングを続けている。 (2)について、ウシガエル下垂体中・後葉のmRNAをコムギ胚芽抽出液を用いた無細胞タンパク合成系で翻訳し、合成されたタンパクをPOMC関連ペプチドに対する抗血清により免疫沈降させたところ、SDS電気泳動上で分子量の異なる2本のバンドが検出された。ウシガエルPOMC遺伝子が複数存在するかどうかを明らかにするため、前述の下垂体中・後葉のcDNAライブラリーと、合成プライマーおよびPCR法により作製したPOMCのプローブを用いて、POMCのcDNAのクローニングを試みた。その結果、コムギ胚芽抽出液により合成されたPOMC前駆体タンパクのうち一方はア-ティファクトであることがわかった。現在、POMCcDNAの8割程度の塩基配列が決まっている
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