C_<60>のド-ピングに伴う電気的特性の著しい変化は良く知られているが、気相ドープ法ではその制御性は十分でない。ここでは電気的制御性に優れた電気化学的ドープ法を採用し、ド-ピング状態の変動に伴うC_<60>の電気的特性の変化を観測し、酸化還元過程に伴うC_<60>の電子状態に関する情報を得ることを試みた。高純度C_<60>は空気中で酸素吸着による著しい電気伝導度の低下がおこる。そこでアルゴンガス雰囲気中において、非水系電解質溶液、ゲル状固体電解質、高分子固体電解質についてサイクリックボルタンメトリーを行った。各電解質のイオン拡散、溶媒和形成能の相違から高分子固体電解質中でのC_<60>の電気化学的酸化還元反応が最も明確に捕らえることができた。以上の結果より、C_<60>は還元化状態で容易に溶媒和を形成し本来電気化学的反応系では不活性的な固体電解質の導入が、固相C_<60>の酸化還元反応を得る為の有効な手段であることが判明した。更に高分子固体電解質の導入により、電気化学的酸化還元反応過程における電気伝導状態の動的な変化を測定することが可能となった。この結果、一価の還元状態と三価の還元状態とでは、その中性酸化過程においての反応経路に違いがあり、三価の還元状態は中性C_<60>と構造的な相違性があることが示唆された。
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