この研究で新しく提案したレーザーアブレーション原子蛍光分析法は、エキシマーレーザーによるアブレーションを原子化過程に用いた新しい高感度な微量分析法である。今回の研究では 1.エキシマーレーザーと色素レーザーを組み合わせてレーザーアブレーション原子蛍光分析試作した装置を用い、真空チャンバー中ではNa原子について1.7ppt(20fg)という感度を得た。 2.300mTorrのHe中での測定におけるNaの飛行プロファイル(Time of Flight)は以前に行ったシミュレーション計算によるものと一致したが、最大のNa検知感度はこれより真空度の低い雰囲気中(1Torr)で得られた。 3.実用性の面から1気圧のHe雰囲気中での分析についても研究を行い、超音速のHeジェットでアブレートした試料を運搬することでNaで1ppbほどの検知下限をえることができた。 この結果、レーザーアブレーションを高感度性を確認することができた。また、大気圧He中においてもある程度の感度が得られたが、これについてはまだ改善の余地があると思われる。今後は装置の最適化を進めることでこれらの検知下限を高めるとともに他の元素への適用も試みていく。
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