セラミックス強誘電体はエネルギー変換材料として注目され、圧電材料、電気光学材料等が実用化されている。電気光学効果は入射光により発生したバルク光起電圧と外部電圧との相互作用により分極状態が変化し、屈折率が変化することで説明される。このバルク光起電力に着目し、発生した電圧が圧電効果(電気→歪)を生じ、材料を歪ませることが報告されている。しかし、この光歪についての系統的な研究なく、紫外線に関する応答例などが個別にあるのみで、機構は不明である。本研究は光歪現象の機構の解明を目的とし、セラミックスのどのような構造・物性が光歪に起因するかを調べ、さらに高光歪特性のセラミックス設計を行なった。成果を列記する。 1)ペロブスカイト系強誘電体セラミックスを作製し、その電気物性、光学物性、および微構造を評価した。 2)セラミックスに光を照射し、微小歪測定装置を用いて光歪を検出し、光起電力、温度変化、屈折率変化も調べた。 3)セラミックスの組織、欠陥構造、組成を評価した。 4)上記、2)と3)より、光歪み現象において以下の傾向があることが明らかになった。 a)欠陥濃度がた高いほど応答速度が早いこと。 b)微細組織のセラミックスほど、また自発分極の大きいセラミックスほど、歪量が大きいこと。 c)遷移金属のドープにより最も高い歪みを示す光の波長が制御できること。 以上が現時点での成果であるが、現在、上記の結果をもとに理論的な解析を行い、メカニズムの解明に向けて研究を続行中である。
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