科学研究費によって補助された本研究は、当初の研究実施計画の半分以上を遂行出来た。しかも、申請の時点では考えられなかった本装置の可能性も見いだされた。以下、それらの概要について述べる。 当初の研究実施計画に対応させた実際の成果について(番号は交付申請書中の番号に一致) 1.実際にOM機能をSEMの中で使えるようにするためのアタッチメントを設計・制作し、同一視野がSEM、OMで観察できるようになった。ただし、OMを完全に真空の中に持ち込むと焦点合わせ等の作業が今のところ困難なので、鉛ガラス一枚を隔ててパラメータの調整は真空外から行っている。 2.残念ながら当初目標は達成できなかった。理由は装置に組み込まれている単板式超小型CCDカラーカメラから得られる画像信号のクオリティーが予想外に劣悪だったことい起因する。目下、三板式のカメラは大き過ぎて本OMに装着できない。しかし、今後一年以内に本研究に必要な仕様を満たした装置が開発される予定であり、それを待って本項目の研究を再開する。 3.本研究項目では、理想的には大気圧で動作する環境制御型SEMの導入が必要であったが、予算的に考えてそれは不可能だった。その代替え手段として、試料に帯電防止剤をコートして(即ち金属コーティング無しに)実験を行った。結果、ほとんどの試料でSEM像とOM像のコントラストは大きく異なり、本複合装置が完成すれば、様々な試料に対して役立つ確信が得られた。 一方、申請時に述べなかった本装置の重要な可能性として、ディジタル画像処理によるOM像焦点深度の増大法、SEM像のカラー化、等の興味ある題材が浮上し、既に研究をスタートさせている。以上報告する。
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