研究概要 |
本研究は,光造形法において造形物の形状精度を低下させる要因を解析し,造形条件を制御して高精度模型を実現することを目的としている. 光造形法は,通常の加工方法では工程が複雑となる複合模型でも容易に成形できる特長をもつ.またレーザを絞ることで微細な構造の模型も成形可能であるが,樹脂の硬化収縮に伴う形状ひずみの発生が高精度の模型を実現する妨げとなっている. この問題を解決するために今年度は以下の課題に取り組み,次の結論が得られた. a)片面に樹脂を塗布し・硬化させた薄板の反りに基づいた内部応力測定手法の開発 透明シートを通して付着・硬化させた感光性樹脂のそりに対するモーメントのつりあいから内部応力を測定・評価する手法を開発した. b)光造形物の内部応力の解析と定量評価 上述のa)の方法を用いて,1ライン硬化物および平面硬化物の内部応力の測定を行った.実験により以下の結果が得られた. ・1ライン硬化物に関して,レーザパワーを増大させるあるいは走査速度を遅くするに従い,内部応力は増加から飽和状態へと変化する. ・平面硬化においては500mum程度の層厚さでは内部応力は照射エネルギー密度に比例するとの結果が得られた. c)形状ひずみを減少させる照射条件の評価 感光性樹脂を硬化させる際に,紫外線レーザ光を走査して領域内を塗りつぶす必要があるが,塗りつぶしパターンを自由に設定可能なシステムを開発し,各々のパターンに対して上述の内部応力の測定を行った.実験より以下の結果が得られた. 塗りつぶしパターンとして,連続走査,飛ばし走査,ダッシュ走査を用意し,これらのパターンで平面硬化させた場合の内部応力の測定を行った.その結果,連続走査,飛ばし走査,ダッシュ走査の順に内部応力が低減するという結果が得られた.
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