本研究では、極めて清浄度が高くしかも高い硬度を有する材料(研究開発中の新幹線用レール材など)についての超精密表面仕上げと面圧強度に関する研究を行なった。たいへん有益な成果を得たので、研究実施計画に沿って、その主な結果を報告する。 1.精密研削加工法の開発的研究 当大学実習工場の円筒研削盤を用いて精密研削加工の開発的研究を行なった。普通砥石(WA#80)を用いて、表面粗さRmax≒0.1mumの粗さに仕上げることが出来た。 2.超精密表面仕上げ装置の設計・製作 既に、試作していた超精密表面仕上げ装置で普通鋼材の超精密鏡面仕上を行なうことには、ほぼ成功し成果をあげていたが、この装置の摺動部と駆動部分の改造を行ない、更に精密な加工を長時間行なうことが出来るようになった。 3.高清浄高硬度材の超精密表面仕上法の開発的研究 精密研削仕上した高清浄鋼ローラを試作装置を用いて超精密鏡面仕上げ(粗さRmax≒0.01mum、真円度0.2mum)することに成功した。ここではアルミナ系の砥粒を用いた。普通鋼材の表面を長時間仕上げると表面に傷(材料の欠陥)が観察されることがあるが、高清浄鋼の場合にはそのような傷が観察されることはなかった。チタン合金についても超精密鏡面仕上げを行ないRmax≒0.05mum程度に仕上げることに成功した。 4.超精密鏡面仕上げの効果および2円筒負荷試験 現有の2種類の2円筒試験機を用いて表面の変化や面圧強度などについて基礎試験を行なった。購入した絶縁型のA/D変換ボードを用いて運転開始直後の非定常なトラクション特性や油膜形成状態等の変化をパソコンで測定できるようになった。高清浄鋼材の超精密鏡面仕上げを行なったローラ表面の顕微鏡による観察から、EHL油膜で完全の分離された表面でも小さい傷または微笑亀裂を生じる場合があることが分かった。この小さな傷(表面亀裂)がなぜ発生するかは、今後更に研究を続け追究したい。
|