研究概要 |
システムの低価格,小形軽量,高信頼性のためにセンサレス制御に対する要求が高まってきている。本研究は,このような背景のもとにブラシレスDCモータ,誘導電動機の回転子位置・速度およびPWMコンバータの電源位相角のセンサレス制御を実現した。提案する位置・速度等の推定アルゴリズムは,制御対象のモデル電流と実電流との誤差より位置および速度を独立に推定できるので,パラメータ変動に対してロバストな制御系が構成できた。 本研究で得られた主な成果を下記に示す。 1.ブラシレスDCモータのセンサレス制御については,速度推定アルゴリズムの安定性を理論的に明らかにできた。また,6極,1.2kWの供試機を用いた実験により±100%トルクの範囲で35〜1500rpmの速度制御が実現できた。さらに,良好な始動,四象限,負荷外乱抑制特性が得られた。 2.誘導電動機のセンサレス制御については,4極,2.2kWの供試機を用いて0〜100%のトルク範囲で20〜2400rpmの速度制御が実現できた。また,良好な過渡特性(始動,正逆転,負荷外乱抑制特性)が得られた。 3.三相PWMコンバータのセンサレス制御については,安定性およびゲイン設計法を理論的に明らかにし,1.7kWの試作システムを用いた理論通りの推定特性が得られることを確認した。また,提案する推定アルゴリズムは設定パラメータの誤差の影響をほとんど受けないことを理論および実験より明らかにした。単相PWMコンバータでは,安定性を明らかにし,シミュレーションと実験のよい一致が得られた。三相,単相とも始動法を提案し,±15°の誤差範囲で初期位置推定ができ,良好な始動特性が得られた。
|