要旨:有機材料の電気的な特性評価を行うためのインピーダンス解析装置を作成して性能評価を行った。測定可能な周波数範囲は1mHz〜1KHz、インピーダンスの上限は10^<11>OMEGA以上が得られており、目的とする性能が達成されていることを確認した。この装置を用いて各種の有機薄膜の電気的特性を測定した結果、複素交流インピーダンス法を用いることで固相の接合素子でも界面の接合状態の特定ができ、EL素子を構成した場合の性能予測が可能であることが判明した。 実験:図1にポリアニリン化学重合膜、図2にTCNQ-TTF真空蒸着膜の測定結果の複素インピーダンス・プロットを示す。図1より、半円上にプロットされたポリアニリンは容量-抵抗並列型の接合を形成していることがわかり、1.5MOMEGA程度の界面接合抵抗が支配的であると考えられる。一方、図2のTCNQ-TTF蒸着膜ではCole-Coleプロットが2次曲線となり、他の有機膜と大きく異なる特徴を持つことがわかった。TCNQ-TTFの電荷移動形態を反映した結果と思われ、現在、電荷易動度等の電気特性を取り入れた物理モデルの作成を行っており、EL素子への応用を進めている。
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