AlGaInP系垂直共振器型面発光・可視光(赤色)半導体レーザの開発を目的とし、ガスソース分子線エピタキシ-法により、種々のAlGaInP結晶の成長を行い、以下の結果を得た。 1.面発光レーザを構成する、波長オーダの垂直共振器、及び高反射率の半導体多層反射膜を設計するためには、材料の屈折率を知ることが必要である。そこで、まずはじめに、GaAs基板上に格子整合したGaInP、AIInP、及びGaInP/AIInP擬似4元混晶の屈折率を1500nmからバンド端波長までの広い波長範囲で反射法により測定した。測定結果をMSEO法に、フィッティングしたところ、擬似4元混晶の等価的Al組成比xに対し、振動子エネルギーE_o=4.17-0.49x、及び分散エネルギーE_d=35.79-1.16xを得た。擬似4元混晶と4元混晶の屈折率は等しいことが分かった。 2.次にGaInP/AIInP半導体多層反射膜を作製し、その反射率を測定した。ピークの波長、反射率とも設計値に対し十分な結果を得た。 3.続いて、GaInP/AIInPファブリーペロ-型歪量子井戸半導体レーザを、ガスソース分子線エピタキシ-法の新たなシャッタ制御技術を用いて作製した。GaInP活性層に圧縮歪みを導入することにより、発振波長を、GaInP/AIInP多層反射膜に対して吸収の無い700nm以上にチューンすることができ、又発振指閾値電流密度175mA/cm^2を得た。この値は世界でもトップレベルであり、圧縮歪みレーザを垂直共振器型面発光レーザに応用した場合に有効である。 以上の基礎的な研究を土台として、実際に垂直共振器型面発光レーザを実現することが、今後の課題である。
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