研究概要 |
地上衛星間レーザー長光路吸収法は、レーザー光を地上と衛星の間を伝搬させ、大気の吸収スペクトルを測定することにより、光路上の大気微量分子の濃度を測定する方法である。水蒸気、オゾン、メタン等吸収の強い分子は、吸収スペクトルの圧力依存性を利用して濃度プロファイルの測定が可能である。NO等吸収の弱い分子は、カラム濃度の測定が可能である。本研究では、赤外の波長可変レーザーを光源として用いた地上衛星間レーザー長光路吸収法によるカラム濃度測定の可能性と、最適な測定波長を明らかにした。 まず、測定の雑音と濃度誤差との関係について検討を行った結果、測定で得られるカラム濃度の誤差が、測定を行う波長間隔の関数で与えることが分かった。この関数を最小にする波長範囲で測定を行う場合に、干渉分子の影響も小さく、濃度誤差も最小に抑えられることが分かった。 次に、大気分光モデルプログラムの最新版FASCODE3PをUNIXワークステーション用に改良し、赤外領域(500cm^<-1>〜10000cm^<-1>)の高分解能(0.001cm^<-1>の波長間隔)吸収スペクトルデータベースを作成した。 続いて、分子吸収線データベースHITRAN92に含まれる31種の分子全てについて、測定の可能性を調べた。この結果、H_2O,CO_2,O_3,CH_4,N_2O,COは測定された吸収スペクトルから反転法により濃度プロファイルの測定が期待できる。カラム測定に関しては、1パルス当たり信号対雑音比が100、レーザー繰り返し10Hz、1分の測定で、NO,HNO_3,HF,HCl,OCS,C_2H_6,NH_3が10%以下の精度で測定可能であり、NO_2,C_2H_2,H_2CO,HOClも,精度の向上や測定時間の延長等により測定可能であることが明らかになった。
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