電位分布が均一となる円筒型リアクターを作製し、外部(ステンレス)円筒を陰極、炭素棒を陽極としてそれぞれ同心円状に配置して用い、微生物を固定した場合としない場合とで種々の操作条件に対する処理水質を比較・検討した。また、電極系内のイオン移動に対する理論的解析を併せて行い、以下の結果を得た。 1.炭素電極を用いることにより、陽極での酸素生成が主に二酸化炭素の生成に変わる。したがって、リアクター内部のORPは-200mV以下の嫌気状態となり、+100〜200mV前後の地下水の処理に際しても脱窒反応が進行しやすい条件となる。 2.通電により陰極表面で生成される水素は脱窒反応の電子供与体として利用され、地下水中の硝酸イオンが除去される。硝酸除去量はこれまでの実験条件では電流値が大きいほど大きかった。また、硝酸イオンの除去に伴うpH上昇は1)の陽極における二酸化炭素(及び重炭酸イオン)の生成によって抑制され、結果的に処理水は中和される。 電極系内の物質移動に対する理論的検討から、電解質濃度が種々変化した場合の系内電位分布、pH分布、硝酸イオンの移動速度、脱窒速度等の変化量を求めた。特に、無機炭素濃度が数mMになると、脱窒菌固定電極系内のpHはその緩衝作用によってpH10前後から中性付近の値となる。 なお、本処理法の最適設計・操作条件については、電極の消費電力量を含めて現在検討中である。
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