島根・鳥取両県にまたがる汽水湖中海の浚渫跡地では栄養塩類の溶出や青潮の発生等により水質汚濁の新たな発生源となっている。この原因として浚渫跡地内に集積した浮泥(底泥-海水境界層近傍に存在する底泥)が揚げられ、現在その処理・処分が重要な課題の一つである。 本年度は、浮泥の含水比、粒度、強熱減量及び色相等を測定し、また走査型電子顕微鏡(SEM)による浮泥の観察を行い、その基本的特性について検討した。 調査地点は中海米子湾彦名干拓沖の浚渫跡地(650×350、水深16m)及び比較として浚渫跡地外(水深8m)を選んだ。 浚渫跡地内の水質は水深4〜6mで塩分躍層が認められ、その躍層でDOが20%と急激に低下し、水深16mでは0%となった。浚渫跡地外では浚渫跡地内と同様に塩分躍層が認められたが、底層のDOは10%であった。浚跡地内の浮泥は含水比;約700%、強熱減量;約22%、平均粒径10u m、Eh;-170mVであり、これに対して浚渫跡地外の浮泥は含水比が約350%、強熱減量が約16%、平均粒径20u m、Eh;×20mVであった。また、色相は、浚渫跡地内では底泥表層から15cm、浚渫跡地外では約5cmまでが黒色を呈していた。SEMによる浮泥の観察結果から、浚渫跡地内の浮泥は珪藻のデトライタスで占められ、その優占種は中海で頻繁に発生する赤潮藻類のSkeletonema sp.であった。浚渫跡地外の浮泥は、珪藻のデトライタスの他鉱物粒子も多く見られた。これらの結果から、浚渫跡地内の浮泥は、浚渫跡地外と比較して平均粒経は小さく、強熱減量、含水比共に大きく、還元的状態が強いことがわかった。
|