研究概要 |
Ni-Al系及びCu-Al系には、bcc相が広い範囲で存在するが、NiAl-Cu_3Alの擬2元系には、bccc相同士の2相分離が報告されている。本研究では、Ni-Al-Cu系のCu側の状態図を実験的に明らかにするとともにNiAl-Cu_3Al擬2元系に現れるbcc相同士の2相分離を詳細に調査し、この2相分離の生成原因について解明することを目的とする。実験の結果、以下の点を明らかにした。 (1)状態図の決定:fcc-alpha相、bcc-beta相、gamma相及びNiAl-beta相について、700℃の相平衡を明らかにした。この結果、すでに報告されているようなNiAl-Cu_3Al擬2元系上におけるbcc相内の2相分離の存在が確認された。 (2)bcc相内の2相分離:NiAl-Cu_3Al擬2元系上におけるbcc相内の2相分離についてDSCによる解析も行った。また、構成相を明確にするために高温ステージによるTEMその場観察を行った。その結果、この相分離がB2相同士で生じていることを明らかにした。 (3)熱力学的解析:このB2相同士の相分離の原因を解明するため、CuがNi、Al両サイトに入ると仮定した副格子モデル(Ni,Cu)(Al,Cu)により、モデル計算をおこなった。その結果、たとえ基本2元系に相分離が存在せずとも、NiAl相が極めて熱力学的に安定である場合、3元系に島状2相分離が現れることが分った。
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