金属のクラスターや超微粒子は担持触媒として広く用いられており、その反応性が担持金属の粒径により変化することが知られている。しかし、その変化が金属粒子自身の微粒子化によるものなのか、それとも、担体との相互作用の変化によるものなのか判然としていない。そこで、本研究では、超微粒子化によりクラスターや超微粒子自身の反応性が変化するかどうか検討するために、粒子を気流中に浮遊した状態で反応を行った。反応系はNi粒子触媒を用いた水素のよるNOの還元を取り扱い、粒子はレーザー蒸発法により生成した。 実験結果を以下にまとめると、 (1)レーザー蒸発法により30nm程度のNi超微粒子を生成した。 (2)水素が共存していないときのNOの反応は化学吸着のみであり、その反応は表面が酸素に覆われるまで進行する。その速度は高速度であり0.5sec以内に反応が完結する。 (3)水素が共存する反応系では、約1secの滞留時間の間反応が進行しており、NOの化学吸着反応と水素による反応と水素によるNi超微粒子表面上の酸素引き抜き反応がくり返し進行する触媒反応が起きている。また、Ni超微粒子/NO/H_2系の反応ではH_2の粒子表面の酸素の引き抜き反応が速度を律している。 (4)Ni金属/シリカ触媒とのグラム当たりの反応速度の比較を行ったところ、高温反応場では浮遊した超微粒子触媒の方が高活性である。 浮遊粒子の反応実験を行うことができるようになったが、まだ粒子の超微粒子効果が顕著に反応に現れていない。今後、粒子の粒径をさらに小さくし反応性の変化を追跡していきたい。
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