研究概要 |
イットリビウム-ゼオライトを合成し以下の研究を行った。 1表面錯体の合成 イットリビウム金属インゴットを液体アンモニアに溶解しそれにゼオライトを含浸させ錯体を表面固定した。アンモニアを室温排気することによって除去し所定の温度で真空排気した。 2原子価の決定と構造 表面錯体試料のinsituX線吸収スペクトル(XAFS)を測定し、希土類元素の原子価とその定量をXANESにより行ない、幾何学的構造をEXAFSにより検討した。試料は複数の相を含んでおり、EXAFSでの解析は不可能であった。XANES解析のためのソフトウェアを開発した。XANESからは試料の電子状態が排気処理により変化することが見い出された。 3化学的状態の決定 insitux線光電子分光法(XPS)により化学種の同定を行ないXAFSと相補的な電子状態の解析を行った。700℃で排気したサンプルのスペクトルから、イットリビウムは窒化物として存在することが見い出された。 4リガンドの変化 錯体リガンドとしてはアミド,イミドが存在することが期待される。insitu赤外線吸収法によりこれらの存在の確認および存在量を決定した。 以上の結果より、排気処理によりイットリビウム錯体はゼオライト上で3価アミド、2価アミド、2価イミド、3価窒化物の順に変化していることが見い出された。これらのうち2価アミドが固体塩基として、また3価窒化物が水素化触媒として有効であることが分かった。本研究の成果はすでに化学工学会主催表面研究会、触媒学会93年度触媒研究会、および、関西XAFS研究会にて報告した。
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