研究概要 |
アシルシランシリルエノールエーテル(1)とキラルアルデヒドジメチルアセタール(2)の反応による三連続不斉中心を有するアルドール付加体の生成と、その求核試薬との反応による四連続不斉中心の立体選択的構築について検討した。 これらのアルドール反応では、3連続不斉中心を有する4種類の異性体のうち、3、4位炭素の立体配置がsynに規制され、2、3位炭素のそれが異なる2,3-syn-3-メトキシ-1-シリル-1-ブタノン誘導体(3)または2,3-anti-3のいずれかが優先的に生じた。すなわち、ベンジルアシルシランから生成したE-またはZ-1Aとフェニルプロパナ-ルジメチルアセタール(2A)との塩素チタン触媒反応では、E-1Aから2,3-syn-体(3S)が、Z-1Aからは2,3-anti-異性体(3a)がそれぞれ高ジアステレオ選択的に生成した。一方、シリルトリフラート触媒反応では、E、Zいずれの1Aからも3aが優先的に生じた。また、その他のアルキルアシルシランエノールエーテル(1B)と2Aや2-メチルブタナ-ルジメチルアセタール(2B)との反応では、用いた1Bの立体化学と触媒に無関係に、2,3-syn-体(3s)の生成が優先した。本反応における2、3位炭素の立体規制は鎖状遷移状態モデルに、3、4位炭素のそれはCramモデルによって説明された。 3にアルキルリチウムを反応させ、対応する4連続不斉中心をもつ3-メトキシ-1-シリル-1-ブタナ-ル誘導体(4)を定量的、かつ高ジアステレオ選択的に得た。4のフッ素アニオン試薬による脱シリルプロトン化は、定量的、かつ立体特異的に進み対応する1,2-anti-3-メトキシ-1-ブタナ-ル誘導体を生じた。3と求核剤での高立体選択性の発現は、3のカルボニル酸素とメトキシ酸素に金属イオンが配位した環状構造を経由して反応が進行したためと考えている。
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