研究概要 |
カルボニル基のエナンチオ面を効率よく認識することは、不斉合成の要の問題である。カルボニル基を一旦C_2対称軸を持つキラルジオールに変換すれば、厄介なエナンチオ面の選択から解放される。以前に開発した有機アルミニウムヒドリド反応剤を用いた(-)-(2R,4R)-2,4-ペンタンジオールのアセタールの立体選択的還元型開裂反応はこの考えに基づいたものである。 今回、我々は、光学活性2,4-ペンタンジオールのアセタールに対し、トリアルキルアルミニウムとペンタフルオロフェノールの1:1混合物を用いることにより、アセタールの高選択的アルキル化開裂反応を見いだした。更に、光学活性1,3-ブタンジオールのアセタールを用いれば、トリアルキルアルミニウム反応剤のみで高いジアステレオ選択的アルキル化が行えることがわかった。 光学活性2,4-ペンタンジオールのアセタールの立体選択的開裂反応は、開裂後、ジオール部分を酸化続いて塩基処理をして除かなければならないが、今回、更に我々は、立体選択的還元型開裂とその後の酸化を同時に行なう分子内ミアバイン-ポンドルフ-バーレー型開裂反応を見つけた。当初、この反応にはジエチルアルミニウムフルオリドとペンタフルオロフェノールの1:2混合物を1当量必要としたが、更なる検討を重ねた結果、アルミニウムペンタフルオロフェノキシドを触媒量(5モル%)用いればよいことが明かとなった。 また、酸素や水に安定なルイス酸触媒としてトリスペンタフルオロフェニルボロンを見つけた。このルイス酸を用いれば、ジメチルアセタールやメトキシメチルエーテルとシリルエノールエーテルのアルドール型反応が穏和な反応条件下で速やかに進行することがわかった。
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