研究概要 |
従来テトラシアノエチレン等の電子受用性オレフィンは、電子受用性が高すぎるため電子供与性オレフィンとは共重合せず、双性イオンを経由してシクロブタン誘導体が生成する。本研究では、これら共重合が困難であった電子受用性オレフィンと電子供与性オレフィンとの新規共重合法の開発を目的として、両オレフィンから容易に生成するシクロブタン誘導体の開環重合を検討した。 1.電子受用性オレフィンと電子供与性オレフィンとの反応による種々のシクロブタン誘導体の合成とその開環重合:次の電子受用性オレフィンと電子供与性オレフィンとの組み合わせからシクロブタン誘導体を合成した。テトラシアノエチレン-ビニルスルフィド、トリシアノエチレンカルボン酸メチル-ビニルエーテル、1,1_-ジシアノエチレン_-2,2_-ジカルボン酸ジメチル-ビニルエーテル、2,2_-ジシアノアクリル酸メチル-ビニルエーテル、ビニリデンシアニド-ビニルエーテル。いずれのシクロブタン誘導体もアニオン開始剤、カチオン触媒、3級アミン、4級アンモニウム塩によって重合し、これまで合成されていない電子受用性オレフィンと電子供与性オレフィンとの交互共重合体が合成できた。 2.テトラシアノエチレン-ビニルエーテル環化物のカチオンリビング開環重合:表題シクロブタン誘導体はニトロメタン中、エチルビニルエーテルの酢酸付加体/ヨウ化亜鉛を開始剤とするカチオン重合においてリビング性を有することを明らかにした。これはオレフィンモノマーの交互共重合体が分子量規制された最初の例である。さらにこのリビング特性を応用して異なるシクロブタン誘導体のブロック共重合体を合成した。 3.テトラシアノエチレン-ビニルエーテル環化物とオキシランとの自発的共重合:表題シクロブタン誘導体はアセトニトリル中、シクロヘキセンオキシドと無触媒で共重合し、両者の交互共重合体が生成することを見出した。これは2種のオレフィンと環状モノマーの3元定序配列共重合体合成の最初の例である。
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