本研究では宇宙プラットホームとして用いられるような大型宇宙飛翔体周辺のプラズマ及び中性ガス環境をシミュレーションによって研究する際必要となる計算機コードを開発することを目的とした。具体的には中性ガスの働きを取り扱うためのモンテカルロ法とプラズマの空間電荷にself-consistentな動きを取り扱うためのParticle in Cell(PIC)法を組み合わせた2次元粒子コードを作成することを目的とした。 研究にはUNIXワークステーションを使い、計算コードはフォートランで書いた。全機まわりのシースの広がりを捉えられるよう座標系として円筒座標を選択した。粒子コードは陽解法を用い、相似則の導入によって計算に必要な粒子数が典型的な例で20万個程度になるようにした。これにより小型のワークステーションでも実行可能なコードを作成できた。コードの検証のため、半径1mの円筒形飛翔体を取り囲むシースの時間発展を飛翔体表面が正負100ボルトの電位を持った場合について計算を行った。飛翔体が正電位を持つとき電子シースが飛翔体を覆うが、周辺に中性気体があると衝突電離によってシース内の正電荷が増加し、結果としてシース境界が外側に向かって進行していく現象が見られた。飛翔体が負電位を持つとき飛翔体表面からの二次電子によってイオンシースの中で電離がおこり、磁場が円筒軸に平行にあった場合は電子のExBドリフトによって電離が効果的におこなわれシース境界が内側に向かっていく現象が見られた。
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