酸性雨等の植物への被害を測る方法の1つとして葉の表面の色彩の変化を客観的に捉えることを目的とした。そのために京都大学農学部附属演習林上賀茂試験地内に生える5種の樹木(各2個体)を測定木として選んだ。樹種はケヤキ、アベマキ、キリシマツツジ、サザンカ、タチバナである。測定木はそれぞれ高さ1m程度のところを縦横90cm×65cmの板硝子により降下物遮断を行った。2週間に1度葉のサンプルを採集しカラーイメージスキャナによって画像のデジタル化を行っている。得られた画像は従来の野外での撮影での、撮影条件等による影響がなく優れた再現性があることが確認できた。今年度は落葉樹に関しては降下物遮断の時期が遅く、すぐに落葉したため測定は来年度からのものとなるが、常緑樹2種は測定継続中である。酸性雨は春の小雨に強い酸性を示すので、今後の調査の継続に成果が期待される。 同時に同試験地内では1992年4月より全降雨の降り初めから1mm毎のpH、導電率の測定を継続調査中であり同試験地に降る酸性雨の性質に関して報告済みで(金子ほか 1993)、少量の降雨では酸性度が強く、多量の降雨では酸性が弱くなることがわかっている。 今後環境モニタリングの必要性が叫ばれる中で簡易で有効な環境影響の植物診断方法の開発が次の目標である。
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