酪農地帯を中心に牛ふん尿の有効利用を目的とした肥培潅漑が実施され、その中で曝気や撹拌などの牛ふん尿スラリーの調整加工は重要なものとして位置づけられている。本研究では曝気処理にともなう牛ふん尿スラリー有機物の分解過程を検討課題として、性状変化を実験的に検討した。 好気的発酵処理における牛ふん尿スラリーの性状変化は、曝気強度と温度に大きく依存し、含有物質も粗繊維分から懸濁物質まだ粒径が大きく異なっている。そこで種々の曝気条件と温度条件下で好気的発酵処理を行った。主な研究成果は、以下の通りである。 (1)曝気処理過程でのスラリーをふるいによる水洗法とメンブランフィルターによる吸引濾過法で粒径分画を行った。スラリーの粒径変化は、5mum以上で繊維質の細分化、5mum未満で分解が起きていることがわかった。 (2)分画されたスラリー中の全窒素と形態別窒素を分析し、全窒素は曝気に伴い減少を続け、無機態窒素はアンモニア態窒素の減少が著しく、硝酸、亜硝酸態窒素の変化はわずかであった。また、有機態窒素は変動しながらわずかに減少した。これらの結果から曝気処理に伴うスラリー窒素の変化は、アンモニア態窒素の揮散であることが推定された。 (3)スラリー中の有機物について分画別の全炭素とBODを測定した。スラリーの分解は、難分解性物質では確認されず、BODで示されるような易分解性物質で顕著であることが明らかとなった。
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