研究概要 |
小型軽量でユニットタイプの大豆不耕起播種機に供するための作溝部を試作した. 1.試作不耕起播種部の構造 2枚の円板を2cmの間隔で貼り合わせ,この内部を中心から放射線状に8つの部屋に分割し,これを回転軸に取り付けた回転体を基本とする.各部屋にはそれぞれ突起部分を取り付けるが,これは播種穴を形成するための部分であると同時に,種子を播種穴に入れるための導管部分も兼ねる.突起部分の先端は前後に自在に触れるコマの構造をしており,これを取り付けている軸がバネによって押されているため,通常はコマは突起部分から飛び出た形になっている.また同軸上には,突起部分内での大豆種子のダイレクトな移動を防止するための障害物を取り付けている. 2.試作不耕起播種機の作動原理 大豆種子はまず円板内の各部屋に入る.各部屋に入った種子は機体の回転につれて突起部分へ移動するが,突起部分内の障害物によって先端までは移動できない.突起部分のコマが土壌に接触して押されるとバネが縮み,コマが突起部分先端に密着すると同時に,種子が突起部の先端部(コマの裏側)に移動する.突起部は土壌に貫入して播種穴を形成するが,回転が続くと土壌からの圧迫がなくなるためバネの復元力でコマは再び突起部分から飛び出る状態になる.この時突起部先端の大豆種子が,播種穴に落下する. 3.実験結果と今後の改良点 試作機を人口圃場内で作動させ,種子の落下状況を調べた.その結果,土壌が乾いていれば0.1m/s程度の作業速度であれば種子は播種穴に100%に近い頻度で入る.土壌が湿っているとコマに土壌が付着し,これが播種穴の幅および深さの不均一な形成を誘引するのみならず種子の突起部分からの円滑な移動を妨げるため,播種穴への種子落粒率は50%程度になった.従って今後は,コマに付着する土壌を強制的に排除する装置を開発しなければならない.なお,作業速度を1m/s程度にしても対応できることが実用化のためには重要であるが,これには回転体へのスムーズな種子の補給システムを検討する必要がある.
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