マウスの初期胚の体外発生において、受精後約55時間前後に卵管の影響を受けた胚と受けていない胚では胚盤胞期への発生率に大きな差が認められ、また4細胞期に発生した胚においても割球間の接着性に大きな違いが認められる。卵管由来物質はマウス胚が2細胞期から4細胞期へ以降する時期に特異的に作用していることから、この時期以降に各割球間に形成され情報伝達に関与するgap junction との関連について検討した。ラットの心臓組織からAGPC法により全mRNAを抽出し、connexin43のcDNAから選択したDNA配列のセンス側にEcoRl、アンチセンス側にBamHlの制限酵素サイトを付加したプライマーを用いてRT-PCRを行い、目的とする約660bpのDNAを増幅した。増幅したDNAをBluescriptベクターに挿入後、大腸菌を用いて大量培養し、目的のcDNAを用いてハイブリダイゼーション用のプローブを作製した。プローブは、非放射性物質であるディゴキシゲニンで標識した。プローブが正確に作製できたかどうかについてはブロット法を用いナイロンメンブレン上にconnexinDNAを吸着させてハイブリダイゼーションし、アルカリフォスファターゼにより検出しプローブの作製・精製を確認した。また、卵管の影響下で発生した4細胞期胚は、パラフォルムアルデヒドで固定した後、LR Gold樹脂で包埋し、ウルトラミクロトームを用いて約1mumの切片を作製した。作製した切片をカバーグラス上でin situハイブリダイゼーションし、FITCで蛍光ラベルした抗ディゴキシゲニン抗体を用いて検出を試みたが、蛍光顕微鏡による観察ではFITCを検出することができなかった。ハイブリダイゼーションの過程で、切片がカバーグラスから剥がれ落ちることがしばしば観察され、最終的にハイブリダイゼーションによる検出ができなかったと考えられるため、切片のカバーグラスへの吸着方法について検討する必要があると思われる。
|