抵抗血管モデルのハムスターCheck pouchの細胞脈には血流方向と無関係に血管軸に沿って両方向に伝播する血管収縮・弛緩反応のあることが知られている。この反応は、細動脈壁を構成する血管平滑筋細胞間・血管内皮細胞間あるいは両細胞間のギャプ結合を介して情報の伝達されていることが想定されてきたが、未だその詳細な機序については明らかでない。 本研究では、生体螢光色素の移動を指標としてそのメカニズムを解明することを研究目的とした。実験はハムスターのcheek poudrの細動脈(外径50〜80muw)を実体顕微鏡下で摘出し、自作の微小ガラス管を用いて、その両端から保生液を灌流出来る状態で固定し、ピペットホルダーにより保持して倒立顕微鏡のステージ上に装着した。そうした摘出細動脈標本の四管平滑筋細胞あるいは血管内皮細胞に選択的に膜電位依存性螢光色素(di-4-ANEPPS2はmeroeyanine)を負荷した後、アセチルコリンにより血管軸方向に伝播する機械的反応を誘起し、その反応にともなう両構成細胞の膜電位変化を螢光強度の変化より解析した。その結果は両細胞の螢光強度変と血管軸方向の機械的反応との間に有意な相関的関係は認められなかった。
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