研究概要 |
誘電スペクトル解析法により,単離副腎クロマフィン顆粒の誘電挙動を調べ,顆粒限界膜および内相の電気的パラメータの推定を試みた. 1.形態計測 (1)単離クロマフィン細胞の体積変化を最小限にとどめる電顕用固定液の浸透圧条件を調べたところ,細胞を懸濁している溶液よりやや高めに設定する必要のあることが判明した. (2)(1)で設定した固定液を用いて電顕レベルでの単離クロマフィン顆粒の形態計測をおこない,さらにステレオロジー理論に基づて顆粒直径の真の分布を推定した. 2.誘電測定および理論解析 (1)10kHz-500MHzにわたる精密誘電測定をおこない,クロマフィン顆粒の誘電スペクトル特性を確定した. (2)形態計測データを用いて,“one-shell"モデルにより理論解析したところ,実測値を十分に再現することはできなかった.これは顆粒限界膜が単純な一層の“shell"で説明できないことを意味する. (3)単離クロマフィン顆粒を低イオン強度溶液中に懸濁した場合,顆粒限界膜の表面電荷に起因するsurface conductivityを取り入れた“multi-shell"モデルにより,はじめて実測誘電挙動を再現できた.
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