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1993 年度 実績報告書

脂肪酸エステルとリゾ燐脂質の催不整脈作用および抗不整脈作用に関する研究

研究課題

研究課題/領域番号 05770034
研究機関大分医科大学

研究代表者

佐藤 俊明  大分医科大学, 医学部, 助手 (60244159)

キーワードリゾ燐脂質 / 脂肪酸エステル / 心筋ナトリウム電流 / 細胞全膜電位固定法 / モルモット心室筋細胞
研究概要

本研究では虚血関連脂質中間代謝体のモルモット心室筋細胞ナトリウム電流(I_<Na>)に対する効果を検討した。方法はコラゲナーゼ処理によりモルモット心室筋細胞を単離し細胞全膜電位固定法を行った。I_<Na>は60mMのNa^+を含むTyrode液(液温33℃)で潅流し、K^+電流とCa^<2+>電流をブロックして記録した。その結果、保持電位-100mVから-20mVまで20msのパルス(0.5Hz)で得られたpeakI_<Na>に対し、(1)短鎖(C_3)の脂肪酸エステルpropionylcarnitine(PpCar,50-500muM)はI_<Na>を変化させなかった。(2)中鎖(C_8)脂肪酸エステルのoctanoylcarnitine(OcoCar)は低濃度(50,100muM)ではI_<na>を変化させず、高濃度(500muM)でI_<Na>を抑制した。(3)長鎖(C_<16>)脂肪酸エステルpalmitoylcarnitine(PamCar,1-50muM)はチャネルに作用し濃度依存性にI_<Na>を抑制した。(4)長鎖(C_<16>)リゾ燐脂質lysophosphatidylcholine(lysoPtdCho,5-50muM)は脂質二重膜に作用してall-or-nothingにI_<Na>を抑制した。(5)PpCar(100muM)またはHxoCar(100muM)が存在するとlysoPtdChoを潅流してもI_<Na>の抑制は認めなかった。しかしOcoCar(100muM)にはこの防御作用はなかった。(6)PamCarのI_<Na>抑制作用はPpCar,HxoCarおよびOcoCarで防御できなかった。以上の結果から、長鎖アシルカルニチンやリゾ燐脂質はともにI_<Na>抑制作用を有し、これが心筋虚血時の不整脈の一因となっていると考えられる。一方、短鎖および中鎖アシルカルニチンはそれ自体にはI_<Na>抑制作用はないが、リゾ燐脂質のI_<Na>抑制作用を防御することにより抗不整脈作用を有する可能性が示唆された。

  • 研究成果

    (3件)

すべて その他

すべて 文献書誌 (3件)

  • [文献書誌] Toshiki Sato: "Differential mechanism of block of palmitoyl lysophosphatidylcholine and of palmitoylcarnitine on inward rectifier K channels of guinea-pig ventricular myocytes" Cardiovascular Drug and Therapy. 7. 575-584 (1993)

  • [文献書誌] 有田,眞: "虚血で生じる脂肪酸中間代謝体の催不整脈作用と抗不整脈作用の細胞電気生理学的機序" 臨床病理. 41. 401-408 (1993)

  • [文献書誌] Toshiaki Sato: "Inhibitory effects of palmitoylcainitine and lysophosphatidylcholine on the sodium current of cardiac ventricular cells" Pflugers Archiv-European Journal of Physiology. 420. 94-100 (1992)

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公開日: 1995-05-17   更新日: 2016-04-21  

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