研究概要 |
エンドセリン変換酵素の精製をさらに進め、エンドセリン変換酵素に対するモノクローナル抗b体の作成を試みた。まず精製材料として血管内皮細胞を培養し、エンドセリン変換酵素が酸性糖蛋白質であることを利用して、レクチンカラムや陰イオン交換カラム等を用いたクロマトグラフィーにより精製を行った。エンドセリン変換酵素の活性はビッグエンドセリン-1を基質として、酵素反応により産生されるエンドセリン-1を酵素免疫測定法により測定した。精製したエンドセリン変換酵素を抗原としてマウスに注射し、モノクローナル抗体を作成を試みた。モノクローナル抗体のスクリーニングは抗体がエンドセリン変換酵素を免疫沈降する能力があるか否かで行った。スクリーニングによりエンドセリン変換酵素を免疫沈降する抗体を得た。この抗体は血管内皮細胞膜分画中の130 kDaの蛋白質を認識していた。得られた抗体を利用してエンドセリン変換酵素の細胞内分布,組織内分布,生理的,病態生理的な活性の変動について検討を加えているところである。 一方、エンドセリン変換酵素を欠損した細胞に外来性に遺伝子を発現し、エンドセリン変換酵素を獲得したか否かをみることでスクリーニングを行い、発現クローニングも同時に行った。まず変換酵素欠損細胞にプレプロエンドセリンのcDNAを安定発現させることにより、ビッグエンドセリンを発現する細胞株をつくった。この細胞に内皮細胞cDNAライブラリー、あるいは染色体遺伝子断片を導入した。細胞がエンドセリンを産生するようになったかどうかをReverse hemolytic plaque assayという新しい方法を用いて決定した。現在陽性クローンを得、cDNAクローニングの作業が進行中である。
|