研究実施計画のうち、平成5年度は、成長ホルモン(GH)分泌細胞の加齢変化について実験結果を得た。プロラクチン(PRL)分泌細胞の加齢変化および食餌制限の影響については研究を現在続行中である。 実施結果:6-8ヵ月(若千)、24-26ヵ月(老年)オスF344ラットの下垂体から分散細胞を調整し、成長ホルモン(GH)について免疫細胞科学、Reverse Hemolytic Plaque Assay(RHPA)を行った。1)免疫細胞化学的に認識されたGH細胞は、全分散細胞の41.5%(若年)、21.8%(老年)であった。2)RHPAによって認識されるG分泌細胞は、非刺激下で11.2%(若年)、6.8%(老年)、GH分泌刺激ホルモン(GHRF)-10nM刺激下で23.3%で(若年)、13.3%(老年)であった。3)Forskolin(Adenylate cyclase activator)-10uM刺激下では、19.0%(若年)、11.8%(老年)であった。以上から、免疫細胞化学、実際にGHを分泌している細胞を同定できるRHPAいずれの方法によっても、GH細胞の細胞密度は、老年ラットでは若年に比べ約40%程度激少していることが明らかにされた。また、RHPAによって、単一細胞あたりの平均GH分泌量は老年ラットにおいて、やや激少する傾向はあるものの有意な変化ではないことも示された。以上から、GH分泌に関する加齢現象は、個々のGH細胞の機能的変化よりも、細胞の数の減少に依存していると考えられた。
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