本研究では、ヒトIL-8遺伝子から設計したプライマーを用いてPCRを行い、イヌの培養細胞および血球細胞から増幅した2.3-kbの断片がイヌIL-8遺伝子である可能性を検討した。 1.イヌ培養細胞(ATCC CCL 34 MDCK)あるいは血球細胞(ビ-グル犬)から抽出した染色体DNAを鋳型とし、ヒトIL-8遺伝子から設計したプライマーを用いてPCRを行った。 2.増幅された2.3-kb断片をpUC118に連結し、E.coliK-12にクローニングした。 3.クローン化断片の塩基配列をジデオキシ法により決定した。 4.ヒトIL-8遺伝子との比較により、遺伝子構造(エクソン、イントロン)を推定した。 5.推定した遺伝子構造に基づき、塩基配列をアミノ酸配列に翻訳し、ヒトIL-8とのホモロジーを調べた。 その結果、クローン化断片はヒトIL-8タンパクに75%の相同性をもつ、101アミノ酸からなるタンパクをコード可能なことがわかった。遺伝子構造は第4エクソンに2アミノ酸の違いがあるの他はまったく同じであった。 6.イヌ末梢血から分離した多形核白血球をLPSにより刺激した。 7.RNAを抽出し、クローン化断片をプローブとしてノーザンブロッティングを行った。 その結果、約1.5-kbのmRNAが検出され、LPSで刺激したサンプルでは無刺激の6倍の発現が観察された。 以上の結果から、イヌにおけるIL-8遺伝子の存在がはじめて明らかになった。
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