Machado-Joseph病(MJD)は常染色体優性遺伝形式をとる脊髄小脳変性症であり、本邦でも多くの家系が知られているが、これまでMJD遺伝子座は不明であった。そこで我々は、マイクロサテライト多型(CAリピート多型)を示すDNAマーカー(90組のプライマー・ペア)を作製し、本邦MJD5家系61名の末梢血リンパ球から抽出したDNAについて、32P-dCTP存在下でPCR法により増幅、オートラジオグラフィー施行後、各個人のマイクロサテライト多型を検出して、連鎖解析を行った。2点連鎖解析では、MJD遺伝子座と第14染色体長腕マーカーであるD14S48は、組換え率0で最大ロッド値5.66を示し、この2者は緊密に連鎖していることが判明した。他の第14染色体長腕マーカー(D14S43、D14S43、D14S53、D14S45)も最大ロッド値が、れんさの基準値3を越えており、MJD遺伝子座と有意に連鎖していた。多点連鎖解析では、D14S55の座位で最大ロッド値9.72が得られ、D14S53、D14S45では組換えを認めたので、MJD遺伝子座はこの2者の間29cmに存在することが明らかになった。以上、初めて、MJD遺伝子座が第14染色体長腕に存在することが明らかにしたので、本研究内容をNature Genetics(vo1.4.1993)に報告した。現在、MJDの候補遺伝子としてヒト第14番染色体ライブラリーにおけるCAG反復配列を含むクローンの単離を行っている所である。
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