tal-1遺伝子の欠失を小児T-ALLの40例、T-ALL細胞株の8例、小児T-NHLの22例、B-precursor ALLの47例、成人のT-ALLの25例、ATLの10例、AMLLの4例にて調べた。その結果小児のT-ALL、T-ALL細胞株のそれぞれの25%にtal-1欠失がみとめられた。他のT関連疾患、B-ALLでは、検出できなかった。切断点近傍の遺伝子配列を検討すると、リコンビネースの認識部位で切れていること、リコンビネース特有のN配列が認められることから、この欠失がリコンビネースによるものであると考えられた。さらに表面マーカーの解析で、tal-1欠失の認められる細胞に共通にCD2(+)CD7(+)CD3(+)が認められ、CD4orCD8が認められる例もあった。このパターンはT細胞内でリコンビネースが作用する時期にみられることから、シーケンスのデータとあわせて、tal-1の異常がリコンビネースのエラーによっておこる可能性が高いと考えられた。これらは、小児のT-ALLに特有の発症機序を考える上で、重要な知見であると考えられる。
|