ATL患者末梢血から樹立したHTLV-1感染T細胞クローンを筆者らは4種類持っている。その中には無刺激状態でTh0、あるいはTH1に相当するサイトカイン産生パターンを示すものが含まれている。これらの細胞について、PMAやレクチン刺激下での各種サイトカイン、主にIFN-gammaとIL-4の産生をELISA法で調べた。また、そのmRNAの発現についてRT-PCR法で調べた。 その結果、ELISAで検出感度をやや越えるレベルのIFN-gammaが産生される細胞株の「35T」では、レクチン刺激ではほとんどIFN-gammaの産生に増加がなく、PMA刺激によって10倍以上にタンパクの産生が増加した。この結果から、PMAがリンパ球へ直接作用してサイトカインの産生を増加させていることが伺えた。また、Th0型の細胞株である「16T」のIL-4産生においても、PMA刺激では約3倍の顕著な増加をみた。 次に、タンパクレベルよりもより鋭敏にサイトカインの産生を検出できると期待されるRT-PCR法を行った。概ねタンパクレベルでの結果を裏付ける結果を得た。タンパクレベルではIFN-gammaおよびIL-4の産生が検出されなかった細胞株「KS-2」では、mRNAレベルでIL-4のバンドが見られた。IFN-gammaのバンドは出なかったことから、このクローンはTh2型と考えられた。 ICAM-1を発現させた培養ヒト表皮角化細胞と、各種クローンとの接着を見る試みも行った。MTTを取り込ませ、角化細胞に接着したT細胞を光学的に測る実験系を組んだ。検出感度に難があり、はっきりした結果を得るには至っていないが、今後さらに検討を加えたい。
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