本年度は既に開発したIntersubject averagingのためのNonlinear transformation systemにより、各個人のMR画像がどれだけ正確に標準脳アトラス上へ画像変換できるか、また、これまで用いられてきたLinear transformation と比較し、Activation studyによるactivated fociの検出能をどれだけ向上させることができるかを検討した。さらに、不随意運動を呈するパーキンソン病患者に対して、振戦(+)と振戦(-)時の2回の局所脳血流量(gammaCBF)を測定し、振戦に関与する脳部位の同定を試みた。その結果、(1)nonlinear transformation を用いることにより、(2)linear transformation のみの場合と比較し、平均で、1.6mm解剖学的基準点をより正確に一致させることが可能となった。((1)+(2):3.4±2.0mm VS.(2)のみ5.0±3.0mm)。また、(A)仮名文字音読と(B)固視安静時の2回のgammaCBF画像を各個人3回ずつ、5名について作成し〔(1)+(2)〕と〔(2)のみ〕の画像変換後、各々の方法におけるt-mapを比較したところ、明らかにt値の増加とp<0.05における統計的に有意に賦活された領域の増加を認めた。さらに、パーキンソン病における振戦(+)と(-)時のgammaCBF画像の局所変化をH_2^<15>O-PETとI-123 IMP-SPECTにより調べたところ、対側ローランド領上部、対側レンズ核、補足運動野および同側小脳で有意な賦活を認め、随意運動とかなり共通した回路の存在を確認した。
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