現在までに報告されている呼吸同期の手法としては、弾性帯を胸壁に巻き付け、その内部抵抗の変化を観測する方法、スパイロメトリーを用いる方法などがあるが、いずれも強制的に一定の吸気レベルでの呼吸停止が必要で、呼吸状態の悪い被検者や、小児等の場合は利用不可能である。そこで、非侵襲的に胸壁上から、呼吸数、換気パターン、換気量、肺血流量、肺内水分量などに関する情報を得られるインピーダンスニューモグラフィーを応用し、非侵襲的に任意の呼吸位相に同期させた肺野の高分解能CT撮像法を開発する事を目的とした。方法としては、市販のICUモニターを利用し、胸壁のインピーダンス曲線を描出し、得られた呼吸曲線をトリガー発生装置を経由して、超高速CTの撮像タイミングを制御するように回路を作成した。トリガー発生装置は呼吸曲線の任意の呼吸位相でトリガーを発生できるように設計されている。このシステムを用いて、37例で、最大吸気呼吸停止および終末安静吸気相での呼吸同期にてそれぞれ連続画像を撮像し、両者の連続性を比較検討した。また、呼吸不全症例6例および小児症例3例について呼吸同期画像単独で連続性を評価した。呼吸停止画像との比較では、呼吸同期画像において、60%の症例で完全に連続性が保たれ、30%の症例で狭い領域での画像の重なりが見られた。10%の症例で連続性に逆転が一部の画像で見られた。呼吸同期撮像のみ撮像した9例については、7例で画像の連続性が保たれ、2例で画像の重なりが一部の画像でみられた。以上の結果から我々の開発した呼吸同期システムは、小児、呼吸停止不能な患者の胸部CT検査に利用することで得られた画像の連続性を向上させるのに有用と推測される。
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