研究概要 |
[目的]脳微小循環画像の臨床的な有用性について検討した。 [対象と方法]対象は正常例5例、モヤモヤ病11例、その他の脳血管閉塞性疾患1・3例、およびこれら動脈閉塞性疾患において、外頸動脈系と内頸動脈系の吻合術を行った5例である。装置は1.5テスラ超伝導型MRI、パルス系列はFISP(TR=50,TE=30,Flip angle=10 degree,Matrix=128x128)を使用し、造影剤はGd-DTPA(0.1mmol/kg)を約7秒にて急速静注した。静注後一画像7秒にて連続13回の撮像を行い、造影剤流入による能の信号強度変化を検討した。さらに造影剤の初期流入時の画像と流入前の画像とのサブトラクション像を作成し、次に示すSPECT像との比較を行った。SPECT像は99mTc-HMPAOあるいは1231-IMPを使用した。[結果]正常能の造影剤初期流入による信号強度変化は脳灰白質で大きく脳白質では小さかった。動脈閉塞性疾患では造影剤流入速度の遅れ、造影剤洗いだしの遅れ、あるいは流入ピーク時の信号強度変化の現象が認められた。13例において脳微小循環画像とSPECT像との対比を行った結果、ほぼ同等の情報が得られたもの8例、脳微小循環画像が大きな範囲で描出されたもの2例、SPECTが大きな範囲で描出されたもの3例であった。[結語]脳微小循環画像は脳血流の情報をうることができ、とくに脳血管閉塞疾患の診断および術後評価に有用であった。従来使用されている脳血流シンチグラフィーと比較しても同等の評価が得られた。
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