研究概要 |
脳内アドレナリン作動性神経の作用については様々な方面から研究が進みつつあり、特に高血圧の病態に関連した研究や、ホルモンの制御には多大な影響を与えることが示されている。精神科領域でもうつ病の患者の脳脊髄液でアドレナリン濃度が異常を示すことが報告されており、うつ病と関係するとされるalpha-2受容体の制御にアドレナリン作動性神経系が影響するという示唆もなされ、精神科領域での研究の進展が期待される。私は、動物を生かしたまま脳内物質を測定できるブレインダイアリシス法を用いてアドレナリン系のノルアドレナリン系に及ぼす影響を検討した。また脳内アドレナリン系に差があるとされる2系統のラットを用いて様々な薬物の影響を検討した。 1)アドレナリンの合成酵素阻害薬であるPNMT阻害薬(DCMB)の、ノルアドレナリン遊離に及ぼす影響を検討するため、DCMB投与後、ブレインダイアリシス法による継時的な脳内MHPGの測定を行った。この際本研究費で購入したオートインジェクターが使用されている。この結果は、米国精神神経薬理学会にて報告した。 2)PNMT活性とalpha-2受容体感受性が異なるFischer344,Buffaloの2系統のラットにPNMT阻害薬を投与し、その行動に及ぼす影響についてalpha-2受容体阻害薬ヨヒンビンと比較し検討した。この結果は第16回生物学的精神医学会で報告する。 3)現在、成長ホルモンの分泌に及ぼすPNMT阻害薬の影響につき検討中である。
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