研究概要 |
Ecotropicマウス白血病ウイルスレセプター(ERR)としてクローニングされたタンパク質分子は、細胞内外のアルギニン、リジン等の塩基性アミノ酸の輸送を司るトランスポーターとしても機能する。今回は、まず私達がクローニングしたERRのヒトホモローグ(H13,アミノ酸配列の相同性は87.6%)が、マウス白血病ウイルスのレセプターとしては機能しないことを利用し、ヒトとマウスのキメラ分子、さらにSite-Directed Mutagenesisの手法を用いMutantを作製し、ウイルスレセプターとしての機能及びトランスポーター活性を調べた。その結果、ERR分子中の235番目のTyr残基がウイルス感染に重要なアミノ酸残基であり、またこれらのMutantationはトランスポーター活性にはほとんど影響を与えないことが明らかになった。次に、抗H13モノクローナル抗体を作るため、上述の領域を含む第3番目の細胞外領域とGlutathione S-TransferaseとのFusion Proteinを作製し、アルメニアハムスターに免疫し、その脾臓をAg8.653細胞と細胞融合させ、現在スクリーニング中である。抗体が得られれば、腎臓等の臓器における免疫組織学的検討を行う予定である。一方、二塩基性アミノ酸尿症患者からBiopsyにより採取し樹立した細胞株を東邦大学大森病院より頂き、DNA及びRNAを調製し、現在、Southern及びNorthern Blotを行っている。今後、この細胞のRNAよりこの患者のトランスポーターcDNAをRT-CRによりクローニングし、そのトランスポーター活性を測定する予定である。
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