研究概要 |
子宮外保育システムを用いてヤギ胎仔の子宮外保育実験を行い、保育中の胎仔の内分泌動態を検討した.保育終了後胎仔臓器の病理学的検索を行い、体外循環による長時間の子宮外保育が未熟胎仔に与える影響を検討した. 胎齢128日以降のヤギ胎仔は中等度の外的負荷(低体温・低酸素)に対して著明なcatecholamines,ACTH,cortisolの反応を示すのに対し、胎齢122日未満の胎仔は反応に乏しかった.外的侵襲に対する内分泌的反応の成熟はヤギ胎仔では胎齢120日から130日の間におきることが示唆された. 胎仔臓器の病理学的検索の結果、胎仔肝臓の著明な脂肪変性が明らかとなり、これまで行ってきた子宮外保育中の高カロリー輸液による栄養補給の妥当性に疑いがもたれた.栄養管理の再検討の必要性が示された.また、長時間保育が行われた胎仔の中に明らかな全身感染症、特に真菌症の所見を示す胎仔が見いだされた.保育経過との関連を検討することによって胎仔の状態悪化と感染の関係が示唆された.他には特に大きな問題は見いだされず、本研究で用いている胎仔子宮外保育システムの妥当性が示された.
|