・胃癌組織内のラミニンの局在 ラミニンは分化型腺癌では管空形成した癌細胞の外側に層構造をなし明瞭に染色されたのに対し、未分化型腺癌では癌細胞の集簇している領域でのみ胃癌細胞周囲に染色され、癌細胞のindividualityの強い領域では染色されず分化度によりラミニンの局在が異なることが観察された。 ・胃癌組織内のラミニン受容体の局在 ラミニン受容体(特にintegrin alpha3beta1、alpha6beta1)は、ラミニンの局在とほぼ一致し、分化型ではラミニンと接する側の癌細胞の細胞膜に局在し、未分化型では癌細胞の集簇している領域の癌細胞の細胞膜全体に淡く染色され、癌細胞のindividualityの強い領域では全く染色されなかった。このような成績から、胃癌の分化度によって胃癌細胞とラミニンの相互作用が異なっているものと示唆された。 ・胃癌細胞株(MKN-7)では、、金属プロテアーゼ、特に92KDaIV型コラーゲン分解酵素の産生はラミニン添加後増加する傾向にあり、また、未分化型の胃癌細胞株(KATO-III)では、ラミニン添加により72KDaないしは92KDaIV型コラーゲン分解酵素の産生が、微量ながら新たに観察された。 現在、抗ラミニン受容体抗体を用いてIV型コラゲナーゼの産生増加に拮抗するかどうか確認し、胃癌の進展におけるラミニンおよびラミニン受容体の関与、胃癌組織型における発現の相異および臨床上の悪性度との関連性などを検討し投稿準備中である。
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